タイニーシムコーの現状報告とお詫び

苦戦に苦戦を重ねているタイニーシムコーの開発。

このタイニーシムコーさん、量産化がうまく進まず、困難な状況が続いています。

開発当初の予定では2024年秋のリリースを予定していたのですが、どうしてもうまくいかなくて2025年4月に予定変更。

しかし、それもうまくいかず、来月4月の発売は絶望的な状況になっています。

度重なる延期となってしまい申し訳ないばかりです。

楽しみにしてくださっている皆様、本当にごめんなさい。

さて、このタイニーシムコーですが、何に苦戦しているかというと、組み立てたボディーの中にかなりの割合で真っ直ぐ泳がない個体が出てしまうという問題に直面しています。

泳ぎが狂ってしまっている個体もチューニングすればどうにか調整できる範囲内ではあるのですが、僕的には製品としてOKを出せない感じ。

その問題を克服するために、内臓ウェイトを修正したり、ボディーパーツを成型する金型を修正したり、一年近く改良を続けてきて、だいぶ改善はしてきているのですが、それでもどうしても越えられない壁にぶち当たってしまいました。

それがこれ↓

NLWのハードルアーは超音波溶着という非常に高い強度が出る溶着方法をとっているのですが、その溶着方法の場合、左右のパーツの溶着後にこんな感じでバリが出るんですね。(赤矢印で指し示している白い箇所)

問題はこのバリの処理。

これが難題すぎてここ数ヶ月間行き詰まってしまっている感じです。(涙)

今までNLWで開発&量産化してきたルアーでバリの処理が問題になったことはないのですが、タイニーシムコーはアクション設定上の安全マージンをゼロまで追い込んでアクションを絞り出しているのと、背中側がナイフエッジのような形状をしているので、左右対称の形を崩さずに綺麗にバリを除去するのが超むずいんですね。

その作業はもちろん手作業でやるのですが、少しでも左右のバランスが狂うと即泳ぎに影響が出てしまうと。。汗

この作業、僕自身が最大限の注意を払って丁寧に処理してもエラー個体が出てしまうので、これはもはや工場の量産の現場でコントロールすることは不可能と判断。

そんな苦しい試行錯誤の果てに、タイニーシムコーはもはやここまでかというところまで追い込まれてしまっていました。

そんな八方塞がりになってしまったある日の事、一つだけやり残していたことがあった事に気がつき、そのアイデアを試してみました。

それがこれ↓

タイニーシムコーのソリッドボディー化です。

上:中空ボディー / 下:ソリッドボディー

中空ボディーをソリッドボディー化するという大手術。

まぁ早い話、今回もアライグマがCDGをやりやがったと。(CDGの意味はちゃぶ台返しw)

それもNLWの開発史上最大級、おそらくエリ−115MDの時に匹敵する特大クラスのBCDGです。(ちなみにBCDGとはビッグちゃぶ台返しw)

通常であれば中空ボディーをソリッドボディーに変更したら、まともに機能しないか、アクションが悪くなってお終いですが、ダメ元でタイニーシムコーで試してみたら奇跡が起きたんですね。

むしろ、中空ボディーよりソリッドボディーの方がポテンシャルを発揮できるんじゃないか!という奇跡。

いくら試行錯誤を繰り返しても中空ボディーで完全体になれなかったのは、”そうじゃないよ〜”とタイニーシムコーが発していた声だったのかもしれません。

動画ではわかりづらいかもですが、中空ボディーとソリッドボディーのプロトタイプを比較するとこんな感じ。(Xに投稿した動画)

https://twitter.com/Beatour27/status/1902551085341962667/video/1

ソリッドボディーのポテンシャルの一端をご覧頂けるかと思います。

そして、ここから先が更に重要点なのですが、ソリッドボディーは製造工程上、バリ取り&サンディング作業を最小限に抑える事ができるので、問題解決の特効薬になるかもしれないと考えています。

もちろん、それはやってみなければわかりませんが、少なくとも現在の左右パーツ接着方式よりも成功する可能性は高そうな、、、、と、希望的観測かもしれませんが、そう願っています。

あと、それら以外にもソリッドボディー化する事で得られる大きなメリットがあることを発見しました。

それを確認する為に試作を重ねているプロト達がこの子たち。

ソリッド化することで内臓ウェイトのセッティングの自由度が圧倒的に広がり、中空ボディーではバランスを取ることができなかったヘビーウェイトモデルやライトウェイトモデルなど、様々なモデルを作れる可能性が見えてきています。

激流とかライブシューティングなどで使えるヘビーウェイトモデルとか、浅いフィールドでもミドストのような感覚でゆっくり巻けるライトウェイトモデルなど、ソリッドボディーならおそらく可能です。

唯一の難点は、ソリッドボディーは中空ボディーと根本的に製造方法が異なるので、ソリッドボディー用に新しい金型を一から作る必要がある事ですが、確実にルアーのポテンシャルをアップさせられる可能性が見えてきているので、やらない理由は何一つありません。

現在の金型を諦めるのは辛い決断ではありますが、今はそれ以上にワクワクしています。

ソリッドボディーの第一号プロトに食いついてきてくれたブラウントラウトさん。

このプロトがダメならもう後が無いという崖っぷちまで追い込まれていたので、本当に感動の1匹でした。(感涙)

今はソリッドボディー化の大手術を粛々と進め、成功してくれる事を祈るしかありませんが、できることは全てトライしていく所存ですので、もうしばしお時間を頂ければ幸いです!

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