いよいよ出荷開始となった「ふくピカ」
今日のブログでは、このルアーがどんな経緯で誕生してきたか書き綴ってみたいと思います。

モデル名:ふくピカ
ボディーサイズ:53mm
重量:18.5g
ルアータイプ:ソフトカバー対応クランクベイト(フローティング)
アクション:ウィード対策ロール
潜行深度:0.5m
フックサイズ:#4
ふくピカの自己紹介(ふくピカ目線)
みなさん、こんにちは。
可愛いさと、実釣能力の高さで大人気のダイワのふくシリーズに、この度新メンバーとして加入しました、ふくピカ子ことふくピカです♪
名付け親は伊庭内湖で産湯に浸かったタ・イナカ親分で、お腹のブレードがピカピカするのでふくピカという名前が付けられたそうです。
得意な場所はソフトカバーで、ウィードやパラ葦とかが大好き。
強いタックルで投げてもらえることに喜びを感じるタイプです。
おじさんはNLWのファットブル1で、おじさんにソフトカバーからの脱出方法を教わりました。
新人のペーペーですが、優秀なふくファミリーの中でソフトカバー担当で頑張っていく所存です。

っと、ここまでふくピカ目線で自己紹介させて頂きましたが、だいぶウザいというか、恥ずかしい感じなのでw、ここから先は通常のルアービルダー目線で話を進めさせて頂きたいと思います。
ファットブル1ってどんなルアー?
ふくピカについて語るならば、まずはファットブルとはどんなルアーなのか、そこから話を始める必要がありますね。

このファットブル1がどんなルアーか、そしてどんなことができるのか‥‥
おそらく、長々と文章を書くよりもこの動画をご覧頂ければ一発でご理解頂けるかと思いますので、是非ご覧ください。
このシチュエーションは流石に少しやりすぎ感がありますがw、ファットブル1はウィードや葦などを対象としたソフトカバークランキングを可能にしたクランクベイトになります。
ファットブル1について、より詳しくご説明させて頂いたブログ記事↓

ふくピカプロジェクトの始まり
というわけで、ダイワさんとの出会い、ふくシリーズの生みの親の田井中さんとの出会いなど、様々な幸運が重なって始まったふくピカプロジェクトだったのですが、開発が始まってみたら、思っていたのの何倍も大変な開発の旅路となってしまったのでした。(大変なパート担当は主に田井中さんでしたが)

何がふくピカの開発で一番大変だったかというと、発泡ウレタンボディーで作り上げられたファットブル1の機能を、中空ABSボディーで実現させるということでした。
難しい話は割愛させて頂きたいと思いますが、中空ボディーとソリッドボディーは似て非なるもので、形をそのままコピーすれば同じアクションが出るという訳では全くなく、それが高い壁となって開発を困難なものとしました。
そして、もう一つ問題を難しくしていたのがふくボディーが持つウォブル特性。
あのプリッとしてて可愛いボディーですが、これを一言で表すなら、素晴らしいウォブリングアクションを発生させられる完璧なボディー形状。
高い実釣能力を誇るふくシリーズの各モデルはこの素晴らしいボディー形状が大きな原動力になっていると思います。
が、この特性をあえて悪く表現するとしたら、超頑固なウォブル発生装置w
これがふくピカの開発で大きな壁となって立ちはだかっていました。
対ソフトカバークランクが必要とするもの
例えばですが、カバークランキングをしていく時に、対象となるカバーが岩や倒木などのハードカバーの場合、適しているアクションはウォブル系のアクションになります。
ふく壱とか、その特性を見事なまでに活かして作り上げられたクランクだと感じます。

ふく壱の特徴でもある長いリップは潜らせる為と言うよりも、障害物を回避する為のものと言う感じで、完璧にバランスが取られたウォブルアクションと相まって、見事にハードカバーを交わし、泳ぎ抜けてきてくれるクランクです。これ、個人的には歴史に残るレベルの名作クランクだと思っています。
では、このウォブルアクションですが、釣りをしている対象物がウィードなどのソフトカバーだとどうなるか?というと、ウィードの中に向かってぐんぐん突き進んでいって刺さりますw
じゃあ、ウィードなどのソフトカバーと相性が良いアクションはどんな感じかというと、ウィードを押し退ける、もしくはまとわりついたウィードを払い除けられるロールアクションが適したアクションになります。
で、ここでふくピカの話に戻りますが、ソフトカバー対応クランクを目指すならばローリングアクションが良いというのはファットブル1で実証されていたので、ふくピカも当然そのアクションを目指しました。
が、これが実にムズイ!!汗
ふくシリーズの最大の武器でもある超頑固なウォブル発生装置が発動しすぎて、どういうセッティングを施してもブルブルとご機嫌な感じでウォブルしちゃうとw
このウォブル特性をどうやって良質のロールアクションを変換させられるかが、大きな課題となりました。

田井中さんが悩み苦しみ抜かれて試作されたプロトタイプをカナダに送って頂き、それを僕がカナダでテストしチューニングを施していくという「ふくピカ宅急便」が日本のダイワ開発室とカナダのNLW地下工房の間で何度行き来したことか。。。
試作が迷走を重ねていった結果、時にはふくボディーとはかけ離れたボディー形状に進化していってしまったり。。。

狙いのアクションがどうしても出ず、田井中さんから「西根さん、僕には全くふくが来てくれません‥‥」と、皆さんに福を届けたいと願って作り続けている田井中さんには苦しみばかりが訪れていたのでした。(涙)
自らが創造したふくボディーに苦しめられ、完成したのはふくピカではなく、不幸なタ・イナカさんだったというw
そんな一歩進んで二歩下がるような苦しい開発にもめげず、途中で投げ出すことなく開発を続けて下さった田井中さんには心から感謝するばかりです。
田井中さんのインスタアカウント ↓
https://www.instagram.com/fuku_since2021?igsh=cG43Zjh3dGRiZG0z
ふくピカ開発のターニングポイント
そんなこんなで困難を極めたふくピカの開発でしたが、ある時ふとした思いつきで試してみたアイデアが見事に機能し、壁を突破することに成功。
それがこのアイデアでした。

ぐわっと横に張り出したトライアングル形状のリップ、これで出来上がったことで開発が大きく前進しました。
あれだけ苦しんだウォブル発生装置の封じ込めでしたが、リップに受けた水流を横に張り出したリップ形状で上方向に逃し、頑固ウォブルをロールアクションに変換することに成功。
さらにリップの下側をキュッとすぼめることによって、リップに接触、もしくは引っ掛かったウィードを下側に逃すという事を狙ったリップになります。


このトライアングルリップが完成し、ふくピカ完成への道が一気に開けたのでした。
ちなみにこのプロトタイプの写真を田井中さんにお送りした時に頂いた返答は、「西根さん、なんですかこのリップ!?危うくお茶を吹き出しそうになりました!」でした。
田井中さんがお茶を吹き出されなくて良かったですw
この段階で、開発開始の日から実に4年の歳月が流れていました。
ふくピカのブレード
ふくピカですが、トライアングルリップの他に目を惹くところはやはりブレードではないかと思います。

このブレードはフラッシングや金属接触音、ボディーへ接触した時のノッキング音などの発生の他、テールフックをウィードから守るという役目も持っています。

金属接触音とノッキング音

ふくピカを使い込んでいくと、こんな感じでブレードに引っ掻き傷が刻まれていきます。
ブレードがテールフックに接触してできた引っ掻き傷です。
ふくピカは完全固定重心ですが、ブレード、フック、スプリットリングなどから金属接触音を発生させています。
このブレードやフックが接触して発生する金属接触音ですが、空中で聞くとキンキンと乾いた音がしますが、これが実は水中では生命感を感じる有機的な音質に変わります。(言葉で表現するのは難しいのですが、クシュクシュ、もしくはコツコツみたいな感じの音で、空中で聞くのと全く異なる音)
通常のラトル音は規則正しい音ですが、このシステムが発生させる音はランダムであるというのが大きな違いです。
そして、ルアーのアクション変化でルアー本体とブレードの全体像のシルエットが視覚面で変化するのも魚をバイトに導く上で大きなメリットだと考えています。
ちなみにフックポイントがブレードに接触したら針先が鈍りそうな感じがするかもしれませんが、ブレードはフックに比べてかなり硬度が柔らかい素材なので意外と大丈夫です。(もちろんフックポイントのチェックはしてください)

使い続けていくと、ブレードの引っ掻き傷の他にも、こんな感じでテール部のペイントが剥げてきます。
これはブレードがボディーに当たって剥げたもので、ここにブレードが当たることによってノッキングサウンドを発生させています。
使い続けていくと、ブレードに引っ掻き傷がつき、テール部のペイントが剥げてきますが、これはどうかご容赦ください。
このおかげでふくピカは金属接触音+ノッキング音が組み合わさった複雑な音を発生し、カバーの中を釣ることが多いふくピカではこの音が非常に重要な武器になっていると考えています。
ふくピカが得意なカバー
ふくピカが得意なカバーですが、一番得意なシチュエーションはウィードが伸びてきて水面直下に少しだけスペースがあるようなシチュエーションが大得意です。
そのウィードがエビモやキンギョモなどの硬めのウィードなら完全にふくピカの出番。
その他、パラ葦などとの相性も良いです。
今年はすでにシーズンが終わってしまっていますが、春に葦の新芽がポチポチ水面に顔を出し始めるぐらいのタイミングはビッグフィッシュと遭遇できるチャンスなんじゃないかな?と妄想しています。
リリーパッドは通すコースをコントロールできるのであれば行ける可能性はあります。でもリリーパッドの葉っぱの茎がついている切れ込み部にラインが掛かるとそのままルアーがそこに誘導されて根掛かり一直線なので、どうか気をつけてください。
菱藻はすみません、僕はカナダで菱藻エリアで釣りをしたことがないので未知数ですが、密度が薄い場所ならいける可能性あるかもしれません。
石や倒木などのハードカバーもそこそこいけますが、そういう場所ではふく壱を使って頂いた方がストレスフリーだと思います。
おすすめタックル
大抵のタックルで使って頂けるかと思いますが、できればMパワー以上、カバー周りを釣られる場合はMHパワー以上のタックルが良いと思います。
僕は7フィートぐらいのMHパワーロッドにPE50ポンドにフロロカーボン25ポンドのリーダーを60センチぐらい。もしくは同じく7フィートぐらいのHパワーロッドにフロロ25ポンドの通しで使っている事が多いです。
言ってみればフロッグをそのまま投げれるようなタックルですが、そんなタックル&ラインでもしっかり泳ぐように作ってありますので、ヘビータックルでも安心してご使用ください。
ふくピカを巻く時のちょっとしたコツ
とりあえず巻いて貰えば機能するふくピカですが、一つだけ覚えておいて頂きたいことがあるとしたら、ふくピカの場合は、中速〜少し早めの巻きスピードで最大のウィード回避能力を発揮します。
それがどういうことかと言いますと、それぐらいのスピードレンジの方がルアーがパワーを持つので、ウィードを押し退けたり、弾いたり、切ったり、ボディーにまとわりついたウィードを振り解きやすくなります。
硬めのウィードなどの場合はスピードを上げてバンバン当てて行った方が良いことが多いですが、逆にあまり強くないウィードとか、柔らかいウィードなどの場合は丁寧に巻いた方が良いこともあったり。
その辺の見極めはなかなか難しく、ソフトカバークランキングの奥深いところでもあります。
とりあえず、仮にフックがウィードを引っ掛けてきてしまったとしても、ちょっとぐらいのウィードを背負ったぐらいでは泳ぎが死なないように作ってありますので、グリグリ巻いちゃってください。(脳筋w)
オススメのチューニング その1 - ダブルフックチューン

ふくピカには左右対称のセンターバランスフックが搭載されており、下側を向いているフックポイントをカットして頂くことでカバー対応能力をマックス化できますので、必要な場面がありましたらお試しください。
針をカットするのが面倒という場合は、イチカワフィッシングさんから発売されているカマキリダブルを装着して頂くのもオススメです。

オススメのチューニング その2 - ウェイクベイトチューン

ふくピカはブレードを外して頂くだけで簡単にウェイクベイト化して頂くことができます。
これは単純にブレード&スイベル分の重量が軽くなって浮力が増すということもありますが、ブレードが受ける水抵抗が無くなった結果、ふくピカボディーが本来持っているアクションが解き放たれ、水面キープしやすいルアー特性へと変貌します。(ブレードを外すことでアクションの振り幅が大きくなり、潜る力が弱まる)
ふくシリーズにはふく零という優れたウェイクモデルがありますが、現場でウェイクベイトが急に必要になった時など、ふくピカもウェイクベイトとして使って頂くことが可能です。
感謝、そして皆様に福が来ますように
この動画でも少しお話しさせて頂きましたが、ダイワのチームの方々が素敵すぎて、とても楽しくお仕事をさせて頂くことができました。(開発は試行錯誤の連続でしたが。。)
と言う訳で、いつものごとくクソ長い記事になってしまいましたが、当記事の締めとして、動画の概要欄に書かせて頂いた自分の想いをここにも記させて頂きたいと思います。
バス釣りを始めた40年前、中学生だった僕の宝物だったルアーが「バスハンター」でした。
可愛くて、良く釣れて、沢山の想い出を作ってくれたバスハンター。
そんな宝物だったルアーの現代版とも言えるふくシリーズの開発に、40年の時を経た今、ルアービルダーとして参加させて頂けた事は僕にとってとてつもなく大きな意味があることでした。
このふくピカにはダイワさんの開発者の方々の熱い想い、そして僕の40年間分の想いが詰まっています。
「パラ葦」や「水面直下のウィードトップ」など、通常のクランクベイトでは通すことが難しいソフトカバーをストレスなく巻けるクランクベイトとして誕生した「ふくピカ」
ぜひ、このルアーと共にワクワクして頂ければこの上なく幸せです。
皆様に福が来ます事をお祈りしています!

